ヨーグルト その①
先日、知り合いのお父様が、明治乳業で勤務している方だという話題になり、しかも「R-1」というヨーグルトの開発に携わった、ということを知りました。この「R-1」は発売から爆発的なヒットを記録し、明治乳業の従業員の家族は購入をしないように(市場流通分をできるだけお客様に届けるため?)とのお触れまで出たとか…。
真偽のほどは定かではありませんが、この「R-1」は大変目立つ真っ赤なラベルで、コンビニやスーパなどでよく見かけます。また、通常のヨーグルトだけでなく、小さなPET容器に入った飲むタイプもあり、商品展開も進んでいることから、人気商品であるのは本当のようです。
とはいえ、私はその知り合いからこのR-1ヨーグルトについて伺うまで、まったく手に取ったことはなく、食べたこともありませんでした。ヨーグルト自体、体調が悪い(二日酔い)で胃が何も受け付けないとき、最後の手段として口にするくらいで、日常的に食べることもありませんでした。(好きなヨーグルトはアロエヨーグルトか、朝食リンゴヨーグルトです。)
ヒット商品の影に特許あり、というのは良くあることで、このR-1も特許を取っているようです。食べたことはなくても、仕事柄、特許からアプローチしてみようということで、少し調べてみました。
ラベルを読むと、このヨーグルトに含まれる乳酸菌の説明と共に、「特許5177728号」の文字。早速検索してみると、
【出願番号】特願2004-203601
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【特許番号】特許第5177728号
【登録日】平成25年1月18日(2013.1.18)
【発明の名称】NK細胞活性化剤
【特許権者】
【氏名又は名称】株式会社明治
となっています。
出願がなされたのが、約10年前。特許になったのが去年の1月です。権利化まで結構時間がかかっている特許のようです。
拒絶査定不服審判まで行っているのも原因の一つかもしれません。
R-1自体の発売開始はwikipediaによれば、2009年12月です。その2009年に早期審査請求を行っており、これは販売を理由にしたものと推測されます。
10年以上前から研究してきた内容をアイディアとしてまず出願→量産化のめどが立ったので、審査請求、権利化を図ったというところでしょうか。
また、子、孫世代の分割出願もされていますので、権利網の構築を図っていることも推察されます。
さて本題の特許の中身ですが、要は食べるだけで免疫力が付くヨーグルト、という画期的なものです。
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)という、インフルエンザウイルスやガン細胞を殺す働きを持った細胞に着目し、この働きを活性化させることを目的にしています。
活性化には、様々な食材由来の多糖類が研究されてきましたが、その効果は十分ではありませんでした。また薬剤もありましたが、副作用などの問題がありました。
そんな中、明治の研究者の方たちが目を付けたのが、とある乳酸菌です。その名も
「Lactobacillus bulgaricus OLL1073R-1株」
です。商品名のR-1はここからとっているようです。
このL. bulgaricus OLL1073R-1乳酸菌によって生み出された多糖類(特にリン酸化多糖類)はNK細胞を活性化し、その力を飛躍的に高めることができます。
実際に特許では実施例として、与えるものを変えた3タイプのマウス(蒸留水、普通のヨーグルト、R-1ヨーグルト)の脾臓を調べ、死滅したYAC-1細胞の数からL. bulgaricus OLL1073R-1乳酸菌の効果を確認しています。
L. bulgaricus OLL1073R-1だけがどうしてそんな力を持っているのか。個人的にかなり気になりますが、残念ながら特許は学術文献ではないため、そこまでは書いてありません。
食べるだけで、インフルエンザやガンになりにくくなるヨーグルトと、それを支える不思議な力を持つ乳酸菌。
もやしもんを読み返しながら、食べてみようと思います。
以上